システム機能の工夫でユーザーオンボーディングを成功させよう

Saki Shimada Saki Shimada
システム機能の工夫でユーザーオンボーディングを成功させよう

はじめに

ユーザーオンボーディングとは、 「新規ユーザーを様々な活動でフォローしながら満足度を高め、一人前のユーザーに育て、継続的に利用してもらえるようにすることを指す」 と前回の記事では説明しました。今回は、システム機能に関連した成功例をいくつか調べましたので紹介したいと思います。

まず、今回はシステム機能から5つのタイプに分類しました。それぞれ説明していきたいと思います。

  • 1.無料体験型
  • 2.ウォークスルー型
  • 3.パーソナライズデータ収集型
  • 4.チュートリアル型
  • 5.ヘルプセンター型

1.無料体験型

無料体験枠を設けることによって、購入するという罪悪感や心理的な障壁が減り、サービスが非常に試しやすくなります。継続利用するサブスクリプション型のサービスに多く見られます。

  • Apple Music 音楽配信サービス
  • NETFLIX 動画配信サービス

Apple Music

Apple Musicは音楽のサブスクリプションサービスです。一度購入すると解約しにくいという特性を持つため、まず「3か月の無料お試し期間を設ける」という事を行います。

また、興味のあるものを選べばアプリが選曲してくれるようになっており、最初の段階で離脱しにくいように設計されています。

Apple Music「3か月の無料お試し期間を設ける」

NETFLIX

NETFLIXは著者も愛用する映画・アニメ・TV番組見放題のサブスクリプションサービスです。 「初月無料のトライアルの提供」で会員を獲得しています。

Duolingo

Duolingoは英語(外国語)学習プラットフォームですが、ユーザーオンボーディングへの細かいこだわりが随所にあって離脱しにくくなっており、非常に優れたサービスと言えるでしょう。これでもかと言わんばかりに、丁寧な指示を受けることができます。無料体験の中でもひときわ優れている部分があり紹介します。それは、一通りの機能を試した利用後に、登録を案内されるようになっている点です。多くの無料サービスでは「まずアカウントを作ってください」というような形で始まりますが、Duolingoではまず使ってみて魅力が伝わってから登録を案内するというような導線になっています。

一通りの英会話学習機能を試した後に、登録を打診されます。

2.ウォークスルー型

利用開始時にスライド等の情報で商品の使用方法など一連の説明を行いユーザーが一気に利用しやすいようにするタイプです。

  • Shazam 流れている音楽が何か瞬時に調べてくれるアプリ
  • TikTok モバイル向けショートムービープラットフォームアプリ

Shazam

Shazamは機器に装備されているマイクを使用し、瞬時に楽曲を特定する音楽検索アプリです。アプリをダウンロードすると簡単な説明画面が表示され、次へ進むとすぐに使える仕様になっています。

TikTok

ショートビデオプラットフォームであるTikTokでも同じく、ダウンロード後の画面にアプリの操作方法が表示されます。ウォークスルーでは複数枚のスライドを使用するタイプもありますが、この2つは説明をスライド1枚で行っています。

3.パーソナライズデータ収集型

いくつかのコンテンツや選択肢を提示し、それをユーザーに選んでもらうことで興味のあるものを絞り、サービス内で表示すること。ユーザーが興味を持ったものを補足する形になるので、離脱しにくくなります。

  • Canva グラフィックデザインツール
  • Netflix 動画配信サービス
  • TikTok モバイル向けショートムービープラットフォームアプリ
  • Twitter 半角280字内で文章・画像等を自由に投稿できるSNS

Canva

グラフィックデザインツールであるCanvaでは、利用開始直後に目的を尋ねられます。選択するとその目的に合ったデザインやテンプレートが提案され、利用者にとって最適な仕様に変更されます。

Netflix

動画配信サービスNetflixは登録後、好みを探るための選択画面が表示されます。3つ以上作品を選択すると、パーソナライズが開始しおススメの作品が自動選択されます。

Twitter

皆さんご存知のTwitterでは、初日に5人以上フォローしたユーザーが高い割合で継続していることに着眼しました。 データ分析から上記の因果関係を見出し、twitter初期登録時にフォローのレコメンド機能を提供し5人以上フォローしないと利用開始できないようにしました(当時)。

4.チュートリアル ツールチップ型

登録後サービスの使用中に、botや吹き出しを用いて使用方法を説明します。ポイントごとに吹き出しなどで表示されるため、画面を占領することなくスッキリとした説明を可能にし、ユーザーの理解を深めます。

ツールチップによる丁寧なチュートリアル

  • Tiktok
  • Slack

TikTok(再)

TikTok登録後、ツールチップによる機能説明が開始されます。画面に吹き出し型メッセージが表示され簡単な説明を受けます。

Slack

ビジネスチャットツールSlackでも、吹き出しを利用した説明が施されます。吹き出しを使ってツール内容が説明されていくため、新規ユーザーは理解を深めつつアプリの使用を進めていくことができます。

5.丁寧なヘルプセンター型

丁寧なヘルプセンターを設けることはユーザーが自分で調べて、自分で学び、自分で使うという自立のためにも重要なヒントとなります。

Slackのヘルプセンターはわかりやすく充実しています。

Dropboxのヘルプセンターは資料以外に対面とチャットサポートも含まれており、手厚くなっています。

最後に

私たちが普段何気なく使用しているアプリの裏側には、様々な工夫や多くの企業の努力があることが分かりました。オンボーディング方法もそれぞれアプリに最適な方法が使い分けられていて、大変興味深かったです。

※次回はユーザーオンボーディング成功へのヒント2(メール編)について説明します。

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