ユーザーオンボーディングとは、新規ユーザーを様々な活動でフォローしながら満足度を高め、一人前のユーザーに育て、継続的に利用してもらえるようにすることを指します。
ユーザーオンボーディングでは、定期的な顧客フォロー体制の構築を行い、顧客がサービスを通して成功体験を得て愛用するようになり、利用継続が続き、解約(チャーン)が減るポイントを学びます。シグマコンサルティングでは、新規事業やECの立ち上げをお手伝いすることが多く、ユーザーオンボーディングプロセスを重視しています。
アプリ、WEBサービスを新規利用したユーザーの大半が2回目以降ログインすらしなくなり、離脱していく事は一般的な事象です。
グラフの例だと、インストール1日後、半数以上のユーザーがチャーン(解約/離脱)インストール14日後、ショッピングアプリでは9割以上のユーザーがチャーンしています。いかに獲得後の顧客維持が難しいかを表しています。
オンボーディング(on-boarding)とは、「船や飛行機に搭乗中」という意味で良く使われています。船や飛行機に新しく乗り込んできたクルーや乗客に対して、サポートを行い慣れてもらうプロセスのことを指します。 この流れで人事用語として、採用した人材を職場に配置し、組織の一員として戦力化させるまでの一連のプロセスを意味します。
それでは本題に入ります。ユーザーオンボーディングとは、たった1回の利用で離脱しないように新規ユーザーを一人前のユーザーにすることと説明しました。日本でも2014年ころからスマートフォンゲームを皮切に導入されました。
ゲーム開始時のチュートリアルなど皆さん経験があるでしょう。今はゲーム以外のBtoCサービスでも広く導入されています。
AARRRファネルを紹介します。AARRRファネルAIDMAやAISASのようにユーザーの消費行動を表したものです。 このうち、Acquisition(顧客獲得後)の「Activation(活性化)」と「Retention(継続)」に関する部分をユーザーオンボーディングと呼んでいます。
サブスクリプション型や会員機能を持つサービスでのユーザーの利用継続は、成長に直結します。 それは、新規ユーザーの登録数よりも大きな意味を持つことが多いです。 よってユーザーのリテンション(継続)に注力することは、サービス立ち上げ時は勿論、その後のフェーズでも非常に重要な意味を持ちます。
想定LTV(Life Time Value)毎に顧客を分類し、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチでフォローを行っていきます。 ただし、スタートアップの初期ではこの分類を行わず、全ての顧客に耳を傾け対人対応するなども有効な手法を言われています。
大口顧客向けの担当を用意した個別対応がこれに当たります。単価が高いサービスや、エンタープライズ企業を相手にする場合に採用されることが多いでしょう。
ハイタッチほどではありませんが、人員を用意してある程度集団に向けた対応が、これに当たります。そこまで単価が高くないサービスで、営業一人で100社など見る必要がある場合にとられる手法と言えるでしょう。
人員を用意せず、システムで広範囲に対応することを指します。メールの文面やログイン後のチュートリアルや、ツールチップなどがこれに当たります。
ユーザーオンボーディングには定量的な目標設計が重要です。これらはデータを元に考える必要があります。 ここでは、宿泊予約ポータルサイトを例とした定量的な目標を紹介します。 宿泊予約サイトでは、施設が情報を登録しない限り予約できるようになりません。世の中にはこういったBtoBtoCのタイプのサービスは非常に多く、真ん中のBに商材を作成してもらう必要があります。
このように顧客のフェーズに目標を設け、目標に達するように顧客に関してフォローを行っていく事が重要です。
「このサービス使えないな」と思うユーザーがいる大半のサービスに必要です。 特にレバレッジが効くBtoBtoCやCtoC、SNSのプラットフォームサービスに効果的です。
下記企業は例外なくユーザーオンボーディングに強いといえるでしょう。
グローバルmDAUの数は1億8600万ユーザー MAUは3億3000万ユーザー 参考:statista
初日に5人以上フォローしたユーザーが高い割合で継続していることに着眼。 データ分析から上記の因果関係を見出し、twitter初期登録時にフォローのレコメンド機能を提供し5人以上フォローしないと利用開始できないようにした(当時)。
Yotpoはレビューシステム事業のSaaSを提供しています。顧客数約30万社と言われ、ユニコーン企業と言われています。
同社の場合、ユーザにサービスの手順/価値を伝えることを重視してユーザーオンボーディングを設計し直しました。
新規登録後、何をすればよいのかわからなかった初期画面から4stepのツールチップによるToDo案内、停滞しているユーザーに対しての適切なメール案内を実施しています。※MAとしてAppcuesを利用しているようです。
ユーザーオンボーディングを強化した結果、
の結果をもたらしています。
Airbnbは皆さんご存知の通り、BtoBtoC型で民泊を提供しています。 同社では以下のようにホスト(消費者に施設を提供)のオンボーディングプロセスを細かく定義し、それぞれフォロー内容を設けています。
こちらでは、エリア別の想定収入を表示して、ホストのモチベーションを高めています。 想定収入は港区は12万、足立区は9万とエリアに応じて変化します。
他のホストの良い入力例を表示して、入力が進みやすいように支援します。
ホストが間違えると致命的トラブルになるような予約方法について、イラストを用いた1ページを使って確認しています。
この他にも様々な工夫がなされています。
先述のような楽天市場やamazonに代表されるモデル=BtoBtoCになっており、施設数と宿泊プランが増えれば増えるほど、参加者総数が増える仕組みとなっています。宿泊プランや在庫を増やすために、獲得した企業に対してオンボーディングの必然性がありました。
また、同時期に対象の開催企業が登録した場合、セミナー開催しその場でイベント情報登録のサポートも行いました。 結果として商材の増加と品質の向上をもたらし、流通総額は大幅に増額となります。
このようにユーザーオンボーディングは、顧客の維持、すなわちリテンションに大きな効果をもたらし、成長の要因となります。 サービスや業態に合わせてフェーズ設計を行い、ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチと様々な方法を当てはめていくと良いでしょう。
※次回はユーザーオンボーディング成功へのヒント1(システム機能編)について説明します。
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