システム開発会社のハードセルツァー作り

Saki Shimada Saki Shimada
システム開発会社のハードセルツァー作り

皆さんは「ハードセルツァー」とは何かご存知でしょうか?耳にしたことのある方もいれば、まったく知らない方も多いと思います。

ハードセルツァーとは?

ハードセルツァーとは、「アルコール入り炭酸水」を意味します。砂糖水に酵母を加え、その発酵によって生み出されたアルコールと炭酸に、フレーバー付けのためのフルーツを加えて作られたものです。では、同じように「アルコール入り炭酸水」としてイメージされるチューハイとの違いはなんでしょうか。サントリーのホームページによると、チューハイとは「焼酎やウォッカなど無色で香りのないスピリッツをベースに、果汁などを加え、炭酸で割った飲み物」のことを指しています。比較するとハードセルツァーのほうが断然シンプルです。さらにハードセルツァーはグルテンフリーであること、また低カロリーであることが健康志向の人々にウケ、2019年の夏からアメリカで爆発的人気となっています。

サントリーお客様センター(最終閲覧日:2020年9月15日)

この記事では、現在人気上昇中のハードセルツァーに注目し、魅力や楽しみ方を伝えていきたいと思います。

第一回ハードセルツァー作り

7月19日静岡県富士宮市にある、フジヤマハンターズビールさんにお邪魔しました。富士宮市は静岡県の東部に位置し、東京駅から車で2時間ほどで到着します。緑に囲まれ、富士のきれいな湧水が流れる自然豊かな所です。そしてフジヤマハンターズビールさんは富士山のふもとにあるビール醸造所で、旬の地元の食材を使った様々なビールを作っています。今回はそこでハードセルツァー作りをさせていただきました。

フジヤマハンターズビール

ハードセルツァー作りに必要なものは主に「砂糖水・酵母・フレーバー付けのフルーツ」ととてもシンプルです。今回はブドウ風味のセルツァーを作るということでフルーツにブドウ、カラーリングのために※バタフライピーを用い、全部で以下の材料を使用しました。

材料

  • てんさい糖
  • レモン果汁
  • 酵母
  • 発酵調整剤
  • バタフライピー
  • ブドウ(Divine flavor)

※バタフライピー
マメ科の蔦性植物。アントシアニンが豊富で美しい青色を作り出します。さらに、酸性に反応すると「青色→紫色」に変化します。ハーブティーとして楽しむのはもちろん、天然の着色料としても使用される万能植> 物です。

工程をざっくりまとめると下記のようになります。 The爽やかお兄さんという感じの福山さんに説明していただきました。

工程

1.砂糖水煮沸

水1リットルあたり10グラムの砂糖を加え、10分煮込みます。
この工程がアルコールの発生に繋がります。アルコール度数は水に入れた砂糖の割合の半分なので今回は約5%です。 その後レモン果汁を加えpHを5~5.5に調節します。(pHが高いと発酵の際雑菌が繁殖する恐れがあるため)

2.バタフライピー投入

カラーリングのためにバタフライピーを投入します。投入後は写真のような綺麗な青色に発色します。

3.冷却

次に入れる酵母が、ある一定の温度(約45度)を超えると死滅してしまうため、最適温度を保つべく冷却を行います。

4.酵母・酵母の栄養剤の投入

酵母を入れることで、アルコールと炭酸ガスが生成されます。酵母はビール酵母を使用しました。

5.発酵

約2週間発酵させます。そして、この期間中に6のブドウ・レモン果汁を投入します。

今回は甘みを残すために通常より少し早めに発酵を終了しました。これは本来、酵母が食べてアルコールと炭酸に変換するはずだった糖分を残すための短縮です。

6.ブドウ・レモン果汁投入

フレーバー付けにブドウ、酸度の調整のためにレモン果汁をそれぞれ投入します。

7.貯酒タンクに移動し熟成

約20日間熟成します。

8.co2添加

今回甘みを残すべく、アルコールと炭酸の変換に必要な発酵期間を早めに終了した影響で炭酸が弱くなっているため、追加で炭酸を付けます。

9.樽詰め

樽や瓶などに完成したもの詰め、外に出せるようにしてようやく完成です。

途中段階試飲

下は5まで完了した段階のものです。バタフライピーの効果により、きれいな紫色になっています。味は甘いですが、後味はスッキリとしています。この段階では炭酸はあまりない状態です。

フレーバー付け

ここから⑥の工程、ブドウ・レモン果汁投入に入ります。
今回ブドウはメキシコ産のDivine flavorを使用しました。酸味と甘みのバランスが絶妙で、皮ごとサクサク食べることができる美味しいブドウです。
まずブドウを房から取ります。その際、傷んだブドウが入らないよう注意します。

房から取る作業が終わったらブドウを水で洗浄し、汚れを取り除きます。

その後ブドウをネットに入れ袋で包み、ワイン作りの容量で足を使って踏み潰し、果汁を絞り出します。

ブドウを踏む作業(袋の上からですが)は、足の裏で冷たいブドウが潰れる感覚が新鮮で面白かったです。ブドウは思ったよりも固くて、全部潰したと思っても表面だけしか潰せていないということが多く、均等に潰すことがいかに大変か知ることができました。大量のブドウを踏み潰すことなんて普段生活していて一生に一度あるかないか(恐らくないでしょう)だと思うので、貴重な体験をすることができ嬉しかったです。

その後潰し終えたブドウと酸度を調整するためのレモン果汁を投入し、約2週間発酵・熟成していきます。

熟成し終えたらco2を添加し炭酸をつけ、完成です。

ハードセルツァー完成

踏み潰したブドウを入れる際に果汁がだいぶ濁った色をしていたので、試飲の段階のきれいな紫色が損なわれてしまうのではないかと心配でしたが、完成後も淡くきれいな紫色が保たれていました。香りは、発酵を早めに終了した影響でヨーグルトのような香りがしますが、飲んでみるとヨーグルトっぽさは一切なく、フルーティーな甘さが口いっぱいに広がりとても美味しいです。甘いとは言ってもチューハイのようなくどさはなく、あっさりとした甘さなので、甘いお酒が苦手という方でも飲みやすいと思います。個人的にはチューハイよりも断然好きでした!

おつまみと合わせた楽しみ方

ハードセルツァーについてある程度知ったところで、次はそんなセルツァーの楽しみ方を紹介していきます!

お酒を飲む際、欠かせないのが美味しいおつまみです。お酒に合うおつまみがあるとお酒の良さが引き出され、一層美味しく感じられますよね。そこでハードセルツァーに合うおつまみはなにか、ジャンクフードから甘いフルーツまで様々な食べ物を用意し検証してみました。たくさんあるのでこの中で特にマッチしていたもの3つと、意外にも合わなかったものを紹介していきたいと思います。

ハードセルツァーに合わせてみて美味しかったもの一つ目は、ハードタイプのチェダーチーズです。チェダーチーズはチーズの塩分がハードセルツァーの甘みを引き立たせていて、より甘く美味しく感じられました。個人的にフード系おつまみの中で一番合うのではないかと思うくらい良かったです。

次に美味しかったものはフルーツ系の、グレープフルーツとベリーミックスです。この二つには検証したフルーツの中でも酸味があるという共通点があり、程よい酸味がお酒とマッチし美味しさを引き出しています。さらにフルーツ系はお酒のグラスに浮かべても見栄えが良く、味だけでなく見た目でも楽しめるという点で高評価でした。

そして逆に、合うと思っていたのに意外と合わなかったものはジャンクフードの唐揚げです。唐揚げはレモンサワーで流し込むイメージがあったので、チューハイに似たセルツァーは合うのではないかと期待していたのですが、味が濃く、ハードセルツァーと対立してしまったためあまりマッチしませんでした。

まとめ

今回の検証から、ハードセルツァーには程よい塩味・酸味のあるおつまみが合うことが分かりました。味が濃すぎると対立してしまったり、甘すぎると逆にセルツァーが苦く感じてしまったりと難しかったですが、マッチしたものから共通点を見つけることができ良かったです。おつまみとは少し違いますが、塩をつけてソルティドッグのように飲むのもとても美味しくおススメです。フード系にもフルーツ系にも合うハードセルツァーは、食事からデザートまでどの場面でも楽しめる新時代の素敵な飲み物です。皆さんもお気に入りの組み合わせを見つけ出し、ハードセルツァーの魅力を感じてみてはいかがでしょうか。

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